最近、税理士事務所の顧問料が値上げされるケースが増えています。
これまで長年据え置かれてきた料金が、なぜ今になって見直されているのでしょうか。
その背景には、単なるコスト増ではなく、日本経済や税理士業界そのものの構造変化があります。
本記事では、税理士事務所を取り巻く環境を整理しながら、その理由を解説します。
※あくまでも私見ですので、ご了承ください。
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税理士事務所を取り巻く環境
コロナ禍以降、社会の仕組みは大きく変化しました。
税理士事務所を取り巻く環境も例外ではなく、多くの変化がありました。
人材不足の深刻化
税理士業界では、慢性的な人手不足が続いています。
人手不足には大きく、下記のような要因があります。
- 若手人材の減少
- 資格取得までのハードルの高さ
- IT人材の他業界への流出
その結果、既存スタッフの負担は増加し、事務所運営のコストは確実に上昇しています。
IT化・クラウド化による業務の変化
freeeやマネーフォワードといったクラウド会計の普及により、会計業務は大きく効率化しました。
一方で税理士実務では、
- システム設定
- データ連携の管理
- エラー対応
といった新たな業務も増えています。
単純に「楽になった」わけではなく、業務の質が変化していると言えます。
税理士事務所は、こういった時代の変化に対応していく必要があり、コストもかかっています。
顧客ニーズの高度化
クラウド会計等の進化により、従来は、
- 記帳
- 申告
が中心でしたが、現在はその先の
- 資金繰りの相談
- 節税戦略
- 経営アドバイス
など、より高度な支援が求められています。
デフレからインフレへの転換
ここ数年で、日本経済は大きな転換点を迎えました。
特に新型コロナウイルス感染症の世界的流行を契機として、
- 金融緩和の継続
- 供給制約
- エネルギー価格の上昇
などが重なり、日本は長年続いたデフレ環境からインフレ環境へと移行しています。
その結果、
- 人件費の上昇
- システム利用料の上昇
- 各種コストの増加
が進み、「値上げしないこと自体が難しい時代」になっています。
なぜ今まで値上げされなかったのか
税理士事務所の顧問料は、永らく値上げされて来ませんでした。
それには、下記の理由が考えられます。
長期契約による価格の固定化
税務顧問は一度契約すると長期間継続するケースが多く、料金が据え置かれやすい特徴があります。
そのため、実態としては長年値上げが行われていないケースが多く見られました。
値上げしにくい業界構造
税理士側には、
- 顧問先との関係を維持したい
- 解約リスクを避けたい
という心理があります。
また顧問先側も税理士変更の手間があるため、価格は固定化しやすい構造でした。
記帳中心の価格競争
これまでの会計業務は「作業量」が価値の中心であったため、料金は比較されやすく、値上げが難しい環境にありました。
顧問先の財務状況を把握できてしまう
税理士事務所は、その仕事上、顧問先の財務状況をすべて把握する必要があります。
そのため、作業量は多くても、資金繰りが良くない顧問先に対しては値上げがしづらいものです。
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なぜ今、値上げが起きているのか
しかし現在、冒頭でお伝えしたように、顧問料の値上げが起こっています。
それは、下記のような要因が考えられます。
コスト増が限界に達した
人件費やITコストの上昇を、これまで事務所側が吸収してきましたが、その限界に達しています。
インフレ環境への適応
これまでのデフレ環境では、
- 値上げしないことが前提
でしたが、現在は
- 適正価格への見直し
が必要な時代になっています。
インフレ環境において価格を据え置くということは、実質値下げをしていることになります。
税理士報酬も例外ではなく、他業界と同様に価格調整が進んでいます。
提供価値の変化
AIやクラウドの普及により、
- 記帳の価値は相対的に低下
- 判断・提案の価値は上昇
しています。
その結果、
「作業に対する対価」から「価値に対する対価」へと、料金の考え方が変わりつつあります。
人材確保のための賃上げ
優秀な人材を確保・維持するためには、給与水準の引き上げが不可欠です。
その原資として、報酬の見直しが進んでいます。
まとめ
税理士報酬の値上げは、単なるコスト増によるものではありません。
- 人材不足
- IT化による業務の変化
- 顧客ニーズの高度化
- そしてインフレ環境への転換
といった複数の要因が重なった結果です。
特に、長年続いたデフレからインフレへの移行は大きな転換点であり、「価格を据え置くこと自体がリスクになる時代」に変わっています。
今後は、
- 安さではなく価値で選ばれる時代
- 作業ではなく意思決定を支援する時代
へとより一層進んでいくでしょう。
今後も、顧問料の値上げは避けられない状況が続いていくと考えられます。
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