令和2年度の税制改正大綱が発表!フリーランス・スモールビジネスが注目すべき税制改正は?〜法人・消費課税編〜

令和2年度の税制改正大綱のうち、フリーランス・スモールビジネスをおこなう方々に影響がありそうな部分を中心にまとめました。
前回はそのうちの個人所得税課税編についてまとめました。

令和2年度税制改正大綱

今回は法人・消費課税編となります。
※大企業を対象とするものは除きます

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法人課税

内容

  1. 中小企業におけるオープンイノベーションに係る措置の創設
    一定の中小企業が2020年4月1日から2022年3月31日までの間に一定のベンチャー企業へ1,000万円以上の出資をした場合は、その出資額の25%を損金に算入することができます。
  2. 特定高度情報通信認定等設備(5G設備)を取得した場合の特別償却・税額控除
    2022年3月31日までの間に、いわゆる5G設備を導入した場合は、取得価額の30%の特別償却か15%の税額控除の選択適用ができます。
  3. 交際費等の損金不算入制度の適用期限の2年間延長
    交際費等の損金不算入制度が2022年3月31日まで、2年間延長されます。
    交際費等の損金不算入制度とは、
    ①接待飲食費の50%を損金に算入できる特例
    ②中小企業は年間800万円まで交際費を損金に算入できる特例
    を言います。
    ただし、2020年4月1日以降は、資本金100億円を超える法人については①の特例が適用できないこととなります。
  4. 連結納税制度の見直し
    連結納税制度を見直し、グループ通算制度へ移行します。
    現在は企業グループ全体を納税単位とする制度となっていますが、各法人を納税単位として個別に法人税の計算と申告を行いつつ損益通算等の調整を行うといった制度となります。
    現在の連結納税制度は非常に煩雑となっていますので、グループ通算制度に移行することにより事務処理の負担が軽減されることが期待されます。
    グループ通算制度は、2022年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
  5. 中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入の特例の2年延長
    中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入の特例が2022年3月31日まで、2年間延長されます。
    ただし、2020年4月1日以降は、連結法人と常時使用する従業員の数が500人を超える法人ついてはこの特例が適用できないこととなります。

注意点など

法人課税については、オープン・イノベーション促進税制や5G投資促進税制といった税制が創設されましたが、スモールビジネスを行っているような方々に影響するような改正は特にありませんでした。
交際費等や少額減価償却資産の特例についても対象範囲を狭くした上で2年間延長されましたが、スモールビジネスへの影響はないでしょう。

消費課税

内容

  1. 法人にかかる消費税の確定申告書の提出期限の延長
    法人税の確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受ける法人は、届出書を提出することにより消費税の確定書申告書の提出期限も1ヶ月間延長することができるようになります。
    法人税については確定申告書の提出期限を1ヶ月延長する特例がありましたが、消費税はその特例の適用を受けたとしても提出期限が延長されませんでした。
    これまでは消費税だけ先に申告書を提出しする必要がありましたが、この改正により、今後は延長を受けた場合でも法人税と消費税の申告書を同時に提出することができます。
    なお、提出期限が延長された消費税の納付については、法人税と同様に利子税がかかります。
    この改正は、2021年3月31日以後に終了する事業年度から適用されます。
  2. 居住用賃貸建物の取得等にかかる消費税の仕入税額控除の見直し
    住宅の貸付け用の建物で、高額特定資産(棚卸資産又は調整対象固定資産で、税抜価額が1,000万円以上の資産)に該当する物の課税仕入れについては、仕入税額控除制度の適用が認められないこととなります。
    なお、住宅の貸付けに供されないことが明らかな部分については、これまでと同様に仕入税額控除の対象となります。
    また、仕入税額控除の対象とされなかった建物を、3年以内に住宅の貸付け以外の貸付けに供した場合や譲渡した場合は、一定の金額が仕入税額控除税額として調整されます。
    この改正は、2020年10月1日以後の購入分(2020年3月31日までに契約した場合は経過措置あり)から適用されます。

注意点など

消費税の確定申告書の提出期限の延長については大企業は影響がありますが、スモールビジネスの場合は通常の2ヶ月以内に申告する場合がほとんどですので、あまり影響がないでしょう。

居住用賃貸建物の取得等にかかる消費時の仕入税額控除の見直しについては、いわゆるアパートを建築した場合の消費税の還付を受けるためのスキーム防止のための改正となります。
今までも様々な改正がありましたが、その度に還付を受けるための新たな抜け道が見つけられてきました。
今回の改正でその抜け道も完全に塞がれた形となります。
今後、アパート建築を考えられている場合には注意が必要となります。

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まとめ

令和2年度の税制改正大綱の法人・消費課税の改正については、フリーランスはもちろんスモールビジネスの方に影響するような改正はあまりなく、どちらかというと大企業向けのものがメインとなっています。
ひとつ該当する可能性があるのは、「居住用賃貸建物の消費税の仕入税額控除」ですが、こちらもアパートの建築を考えている場合のみですので対象となる方は限定的です。

 

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細野祐史
1986年5月30日生まれ(35歳)/岐阜市にある細野祐史税理士事務所所長//マネーフォワードクラウド公認メンバー/freee認定アドバイザー/Macの使える税理士/フリーランが好きなフリーランス/ブログ不定期更新