2019年6月以降のふるさと納税は要注意!4市町村が対象から外れることになりました

2019年6月より、4市町村がふるさと納税の対象から外れることが発表されました。
静岡県小山町、大阪府泉佐野市、和歌山県高野町、佐賀県みやき町です。
これを期にふるさと納税のあり方について考えてみました。

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ふるさと納税とは

もともとふるさと納税は、
「地方で生まれ育ち就職などで都会へ転居した人が、自分が生まれ育ったふるさとに税金を支払うことができるようににするための制度」
としてできたものです。

総務省のふるさと納税ポータルサイトには、以下のように書いてあります。

多くの人が地方のふるさとで生まれ、その自治体から医療や教育等様々な住民サービスを受けて育ち、やがて進学や就職を機に生活の場を都会に移し、そこで納税を行っています。
その結果、都会の自治体は税収を得ますが、自分が生まれ育った故郷の自治体には税収が入りません。
そこで、「今は都会に住んでいても、自分を育んでくれた「ふるさと」に、自分の意思で、いくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか」そんな問題提起から始まり、数多くの議論や検討を経て生まれたのがふるさと納税制度です。

引用:総務省

それがいつの間にか市町村が返戻品競争をするようになり、返戻品を目的にふるさと納税をする人が増えました。

ちなみにふるさと納税のしくみですが次のとおりです。
1万円分のふるさと納税をしたとします。

  1. 10,000円を好きな市町村にふるさと納税する
  2. 市町村から返礼品が送られてくる(だいたい半額の5,000円相当のもの)
  3. その年の所得税と翌年の住民税が合計で8,000円安くなる

これで、実質2,000円で5,000円のものを買ったのと同じ効果となります。

ふるさと納税の返礼品

100,000円をふるさと納税したとしても考え方は基本的には同じです。
だいたい寄付額の半分くらいの返礼品が送られますので、2,000円で50,000円のものを買ったということになります。

そうなると金額は高ければ高いほうがいいのではないかと思われるかもしませんが、この自己負担額が2,000円でふるさと納税ができる金額には、上限が決められています。

上限額は、所得に応じて決まっており、高額所得者ほど高くなります。
年収が400万円で夫婦(配偶者控除あり)と子(16歳以上19歳未満)の家庭の場合、だいたい「25,000円」となります。

この金額は計算式があるのですが、ややこしいのでここでは省略しますが、ふるさと納税サイトなどで計算できます。

このように、近年はふるさと納税はやらないと損な状況になっています。

ふるさと納税が本来の趣旨から外れていく

現在では、ふるさと納税を行っている人のほとんどが返戻品目的です。
それ自体は悪いことではなく、節税手段として有効ですので納税者が返礼品目的となるは必然です。

加熱する自治体の返礼品競争

自治体側から見ると、返礼品があったとしても税収が増えるので、ふるさと納税を少しでも多く獲得しようと必死なります。
こうして自治体同士で返礼品競争が行われることとなりました。

そうなってくると、特産品がある自治体はいいのですが、それがない自治体は困ります。

そこで、返礼品としてギフトカードを贈ろうとする自治体が出てきました。
それが冒頭の4市町村です。

ギフトカードの何が問題かと言うと、換金ができるというところにあります。
換金ができてしまうと、税金が安くなり、さらに返礼品を換金することで、納税額以上の利益を得ることができてしまいます。

ふるさと納税に規制が入る

このような状況に総務省が待ったをかけました。

その結果、地方税法が改正され、次の要件を満たした自治体について総務省がふるさと納税の対象として指定する制度となりました。

① 寄附金の募集を適正に実施する地方団体

② (①の地方団体で)返礼品を送付する場合には、以下のいずれも満たす地方団体
・返礼品の返礼割合を3割以下とすること
・返礼品を地場産品とすること

この改正は、6月1日以後に支出された寄附金について適用となります。
指定対象外の地方公共団体に対して6月1日以後に支出された寄附金については、ふるさと納税の対象外となります。

その指定対象外の地方公共団体が、静岡県小山町、大阪府泉佐野市、和歌山県高野町、佐賀県みやき町、そして東京都です。
東京都は、ふるさと納税の対象となるための申込自体をしなかったため対象外となっています。

また、5市町村以外にも、次の43市町村については6月1日から9月30日までの4ヶ月間に限り、ふるさと納税の対象となります。
9月30日以降はまた、総務省から発表があると思います。

森町、八雲町、多賀城市、大崎市、横手市、酒田市、庄内町、中島村、稲敷市、つくばみらい市、三条市、小谷村、美濃加茂市、可児市、富加町、七宗町、焼津市、岸和田市、貝塚市、和泉市、熊取町、岬町、湯浅町、北山村、総社市、奈半利町、直方市、飯塚市、行橋市、中間市、志免町、赤村、福智町、上毛町、唐津市、武雄市、小城市、吉野ヶ里町、上峰町、有田町、都農町、鹿児島市、南さつま市

参考:総務省

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ふるさと納税のあり方

ふるさと納税の元々の趣旨を考えると、今回の規制は妥当だと思います。
しかし、これからも返礼品競争は無くならないでしょう。

ただ、これからは、返礼品は「モノ」ではなく、「体験」にシフトしていくのではないでしょうか?

例えば、千葉県勝浦市では「スキューバダイビング体験」が返礼品としてありますし、兵庫県豊岡市では「パラグライダー体験」があります。
その他にも、「体験型」で検索するといろいろな返礼品が出てきます。

こういった体験型が充実していけば、それをきっかけとしてその地方を知り、実際に訪れることもあるでしょう。

今回の規制で、ふるさと納税が地方活性化につながることを期待します。

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細野祐史
1986年5月30日生まれ(35歳)/岐阜市にある細野祐史税理士事務所所長//マネーフォワードクラウド公認メンバー/freee認定アドバイザー/Macの使える税理士/フリーランが好きなフリーランス/ブログ不定期更新