相続税の税務調査の対象となりやすい3つのパターン

税務調査の対象

最近、相続法が改正され何かと話題な相続ですが、相続といえばやはり相続税です。
相続税は平成27年に基礎控除額が引き下げられ、申告対象者が引き下げられる前の約2倍となっています。
そんな相続税ですが、所得税や法人税に比べ税務調査の確率が高いことに特徴があります。
相続税の税務調査の対象になりやすい人についてまとめました。

 

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相続税の税務調査の確率

冒頭でもお話ししましたが、平成27年の相続税法の改正により、基礎控除額が引き下げられました。
基礎控除額とは、「この金額までは相続税がかからないという金額」のことです。
改正前は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」でしたが、
改正後は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となりました。

金額として4割引き下げられたこととなります。

この結果、相続税の申告をしなければならないケースが2倍となりました。

なお、国税庁が発表した資料によると、
平成29年中に亡くなられた方「1,340,397人」のうち「111,728人」の方が申告書を提出されています。

割合にすると8.33%となります。
亡くなられた方のうち、12人に1人が申告しているということになります。

引用:国税庁(平成29年分の相続税の申告状況について)

 

また、年度は違いますが、税務調査の件数も公表されています。
平成29事務年度(平成29年7月〜平成30年6月)の税務調査件数は「12,576件」です。

これを仮に平成29年の申告件数「111,728件」のうちの割合にすると「11.25%」となります。
相続税の申告書の提出者のうち、9人に1人が調査対象となっているということです。
この割合は所得税や法人税に比べて格段と高くなっています。

なお、税務調査の結果、申告漏れが見つかった件数は「10,521件」です。
税務調査に入られたらほとんどの人に、ほぼ何かの申告漏れが見つかっています。

引用:国税庁(平成29事務年度における相続税の調査の状況について)

 

調査対象となりやすい人

では、どんな人が相続税の調査対象となりやすいのでしょうか?
一般的に調査対象となりやすい人は次の方です。

  • 富裕層
  • 無申告の人
  • 海外資産がある人

富裕層はもちろんですが、国税庁は近年「無申告の人」と「海外資産がある人」について、特に力を入れています。

富裕層

ここで言う富裕層とは、「金融資産1億円以上を有する人」です。
なお、このうち「金融資産5億円以上を有する人」を超富裕層と言います。

富裕層の人は当然相続税が発生することが想定されるので、国税庁は生前から財産について注視しています。

近年は、確定申告をする人で所得が2,000万円を超え、一定以上の財産を所有する人に対しては「財産債務調書」の提出を義務付けています。

この「財産債務調書」とは、簡単に言うと年末の時点の個人の財産を報告するものです。
提出は義務ですので、提出しない場合は罰則もあります。

富裕層の人は、税務調査が来る確率はかなり高いので、財産の申告漏れには特に気をつけましょう。

最近では、芦屋で一斉に税務調査が行われ、50人以上の合計で30億円超の申告漏れが見つかった事例がありました。

 

無申告の人

国税庁は「平成29事務年度における相続税の調査の状況について」の中で、以下のように述べています。

無申告事案は、申告納税制度の下で自発的に適正な申告・納税を行っている納税者の税に対する公平感を著しく損なうものであることから、資料情報の更なる収集・活用など無申告事案の把握のための取組を積極的に行い、的確な課税処理に努めています。

申告をする必要があるのに、申告をしない人を許さないという姿勢が現れています。

これは、以下のグラフにも数字として現れています。

29事務年度で急激に件数が増えています。

当然、申告をしなければいけないのにしないのは脱税に当たりますので、適正な申告をしましょう。

 

海外資産がある人

無申告の人の場合と同様に、海外資産がある人についても、国税庁は次のように述べています。

納税者の資産運用の国際化に対応し、相続税の適正な課税を実現するため、相続税調査の実施に当たっては、租税条約等に基づく情報交換制度のほか、平成30年9月に初回交換が行われたCRS情報(共通報告基準に基づく非居住者金融口座情報)などを効果的に活用し、海外資産の把握に努めています。
資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案など、海外資産関連事案については、本事務年度においても積極的に調査を実施します。

近年は、資産を海外に移す人が増えてきました。
海外に資産を移せば、相続の時に分らないだろうと考える人が少なからずいるようです。

しかし、国税庁は海外資産についても情報交換制度を設けるなど、情報収集体制を確立して積極的に調査を行なっています。

海外資産については、平成26年に一時的に減少しましたが、そこから徐々に件数が増えてきています。
これからも増えていくものと思われます。

海外資産は確実に把握されていると思って、申告漏れの無いように気をつけましょう。

 

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まとめ

相続税の税務調査の対象となりやすい人についてでした。

相続税は、どうしても申告漏れが起きやすい税金です。
相続人同士の利害関係も絡みますので、財産の把握もなかなか簡単にいかないのが現実です。

ですが、税務調査の確率も高いので、申告には最善の注意が必要です。

特に海外資産については漏れないように気をつけてください。

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